医療機器のヒューマンファクタおよびユーザーリサーチのスペシャリストであるEmergo by ULは、製品評価の際、できる限り実際に近い環境を作り出すことを目指しています。そのためには、参加者を安心させることが重要です。参加者が緊張しているとパフォーマンスに影響が出る可能性があり、リラックスしている方が緊張しているときよりも有益なフィードバックを提供してもらいやすいからです。
では、評価セッション中に参加者をリラックスさせるためにはどんなことができるでしょうか? Emergo by ULのヒューマンファクタリサーチ&デザインチームは、これまでに数多くの評価セッションを実施しており、その中で多くの緊張した協力者に出会ってきました。こうした経験を踏まえ、参加者の緊張をほぐし、安心感を与え、貴重なフィードバックを気兼ねなく提供してもらうためのヒントをまとめました。
- 親しみやすく温かいトーンを心がける: 参加者に最初に会った瞬間からのポイントです。私はいつも、評価会場のロビーからテストルームまで、参加者を自分で案内するようにしています。他の人(例えば、ビルのスタッフ)に任せるのではなく、私自身が参加者を迎えることで、最初から歓迎の意を表すことができるからです。参加者に「今日はどんな一日でしたか?」と尋ねたり、来てくださったことに感謝したり、共通の話題をみつけたりすることに時間をかけることで、単に観察やテストをしているだけの存在ではなく、同じ人間であることを示すことができます。
- 評価対象は「人」ではなく「製品」であることを強調する:参加者には、自分自身が評価されているのではないことを理解してもらうことが大切です。評価の対象はあくまで製品であり、参加者ではありません。各セッションの冒頭で、私たちは通常、研究の概要やセッションの進行について説明するスクリプトを使います。この説明で多くの情報を伝えることになりますが、私が特に強調する点は、「このセッションは参加者を評価するものではなく、あくまで製品の評価が目的」だということです。
- 問い詰めるのではなく、興味を示す:参加者にフィードバックを求める際には、質問の仕方に気を配ります。直接的に「なぜそうしたのですか?」と尋ねるのではなく、「なぜそのように決めたのか教えてください」といった、好奇心を持った聞き方を心がけます。例えば、「なぜ...を行ったのですか?」という質問を、「...をすることにした理由を教えてください」に変えるだけで、協力者は尋問されているのではなく、自分の意見が求められていると感じます。
- 参加者のフィードバックを大切にする:参加者が積極的に関わってくれるようにするためには、特に長い質問の後にフィードバックに対して感謝の気持ちを伝えます。参加者のフィードバックがどれほど役立つか、興味深いか、価値があるかを伝えることで、参加者はよりリラックスし、さらに意見を共有しやすくなります。また、参加者に自分の意見が重要だと感じてもらえるように、製品の問題が実際の使用で他の人にも起こる可能性が高いことを伝え、参加者のフィードバックが今後の製品改善に役立つことを説明します。
- セッションのペースを調整し、必要なら中断する:進行役として、自分がセッションをコントロールしていることを常に意識します。進行のペースを設定したり、参加者が緊張したりフラストレーションを感じている場合には一時中断することもできます。例えば、「メモを取るために少し中断します」と伝えるだけでも、タスクの合間にリフレッシュできる時間を提供できます。最悪の場合、参加者が極度に緊張しているときは、セッションを終了することも選択肢の一つです。データ収集を中断するのは望ましくないかもしれませんが、過度の緊張がパフォーマンスデータに影響を与えるのは避けるべきです。
これらのヒントを今後、参加者をリラックスさせるのに役立ててもらえば幸いです。参加者がリラックスしていると、緊張しているときよりも有益なフィードバックを得やすくなります。参加者を迎え入れる温かい環境を作ることで、安全で使いやすく、満足できる製品を作るために必要なフィードバックを集めることができるでしょう。
5 Tips to Ease Nervous Participants During Product Evaluations
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