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2023 年の医療デザインにおけるヒューマンファクタの洞察

2023年、Emergo by ULのヒューマンファクタチームは、医療機器事業者や製薬会社と連携し、安全性、有効性、使いやすさを重視した製品開発を支援し、大きな成果を上げました。

HFE design blog

December 14, 2023

Michael Wiklund

2023年のヒューマンファクタチームの活動概要 

UL Solutionsのライフサイエンス部門リーダーとして見た2023年のEmergo by ULのヒューマンファクタチームは、多忙で充実した一年を過ごしました。製薬業界からの需要が特に高く、既知の問題分析、使用に関するリスク分析、しきい値分析などのデスクワークから、プロトコルの開発、そして製品開発のすべての段階での実地ユーザビリティ試験に至るまで、多岐にわたるサービスを提供しました。特に、ヒューマンファクタリサーチ&デザイン(HFR&D)チームは、取扱説明書の開発やバリデーションの段階で指示書や警告のユーザー理解度を評価する知識試験や、ジェネリック薬剤投与デバイスが参照デバイスと実質的に類似しているかどうかを評価する比較分析を多数実施しました。年間を通して、多くの医療機器やコンビネーション製品の開発者が米国、欧州、その他の地域での市販に向けて規制当局の承認を得るためのサポートを提供しました。以下が、2023年の主な活動のまとめです。 

業界のニーズに合わせたOPUSヒューマンファクタソフトウェアの拡充 

Emergo by ULのヒューマンファクタソフトウェアプラットフォーム、OPUSは、ヒューマンファクタや製品開発の担当者に卓越した価値を提供し続けています。今年、さらに機能を追加しました。使用エラーウィザード、デザイン推奨ライブラリ、そして高度なヒューマンファクタエンジニアリング(HFE)手法に関するトレーニング動画などが新たに加わり、ユーザーの社内のヒューマンファクタ活動がより効率的に進められるようになりました。2023年には、初めての製品を開発中の小規模なヒューマンファクタチームから、麻酔投与、介入心臓病治療、先進的なイメージングなどの次世代製品に取り組む業界のリーディングカンパニーまで、数百の企業がOPUSを活用しました。 

人工知能(AI)を活用した診断技術 

2022年に引き続き、2023年も人工知能(AI)に関するプロジェクトが増加しました。今年、ヒューマンファクタチームが実施した注目すべきプロジェクトの一つは、AIを使用してデジタル画像から皮膚がんを特定する製品でした。これによりAIの新たな診断モダリティへの応用が広がりました。2024年以降も、こうしたAI対応技術にヒューマンファクタエンジニアリングを適用していく予定です。これらのスマート技術が安全、有効で、かつ人間の手で使いやすいものであることが、製品の成功の鍵であると認識しています。 

かさばるシステムに置き換わるウェアラブル医療技術 

2023年に見られたトレンドの一つは、技術の進歩に伴い、よりシンプルで使いやすい製品が登場したことでした。特にウェアラブルデバイスの分野で顕著でした。その一例が、胸に装着してバイタルサインを監視するウェアラブル医療デバイスです。従来の煩わしいボックスやケーブル、電極がなくなり、患者の日常生活に支障をきたさずにより快適に使用できるようになりました。     

複雑な医療機器のヒューマンファクタ研究 

Emergo by ULのヒューマンファクタ研究の中には、ロボット支援手術システムに関するものもいくつかありました。私たちが関わったロボットには、様々な低侵襲手術に使われるものや、肺の病変を調べたり、脳内の血栓を取り除いて虚血性脳卒中を治療するなど特定の手術に使われるものがありました。これらのユーザビリティ研究では、外科チームがクリティカルな使用シナリオに取り組み、私たちのHFR&Dチームが性能データや主観的な意見を集め、それをもとに具体的なデザインの改善提案を行いました。      

説明書デザインの向上で医療機器のユーザーエクスペリエンス改善  

ヒューマンファクタリサーチ&デザインチームは、医療機器の指示書(例:クイックリファレンスガイド、取扱説明書、技術マニュアル、ラベル)のドラフトを改善し、機器の使用をより安全、効果的で満足できるものにするためのプロジェクトに常に取り組んでいます。通常、このプロセスではテキストを簡潔にし、情報を整理して、重要なステップ(プライマリコンテンツ)を目立たせて補助的な情報から区別します。重要なステップを強調した後は、視覚的にわかりやすいグラフィックやイラストを使って、クリティカル情報を伝えます。以下の点を避けることで、指示書をより直感的で見やすくしています。 

  • 密集したテキスト 

  • 曖昧なグラフィック 

  • 整理されていないレイアウト 

これらを避けることで、医療機器のユーザーが重要な機能をより良く活用し、製品をより快適に使用できるようになります。  

グローバルなHFE視点からの医療機器規制要求事項 

医療機器やコンビネーション製品の製造業者と連携し、グローバルなHFE関連の規制要求事項について各社の理解を深める支援も行いました。特に、日本や中国が医療機器のヒューマンファクタエンジニアリングの適用を強化する中で、Emergo by ULのクライアントからは、米国、EU、または英国でのヒューマンファクタ関連の取り組みが、アジア市場での市販承認にどのように役立つかを知りたいという声がありました。こうした多様な市場の規制要求事項に対する関心は、2023年の国際ヒューマンファクタ&エルゴノミクス学会のヘルスケア関連シンポジウムで一層高まりました。ここで、Emergo by ULのチームは、グローバルなヒューマンファクタ要求事項の達成方法と様々なヒューマンファクタ研究を効果的かつ経済的に実施する方法についてのワークショップを実施しました。 

Emergo by ULヒューマンファクタチーム2023年総括 

グローバルの視点で見ると2023年は多くの面で激動の年でした。2024年にはより良い平和と繁栄を期待します。Emergo by ULのヒューマンファクタチームは、UL Solutionsの世界をより平和にするという使命に沿って重要な貢献をしてきました。医療や製薬分野の製品開発において、私たちの取り組みは間接的ながらも確実に、臨床医が患者に最良の医療を提供する手助けをし、また、患者がより効果的に自己管理できるようサポートしています。 

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