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医療ユーザビリティ試験の主導とモデレーション

ユーザビリティ試験セッションの進行をテーマに先日開催された、ウェビナーの内容をまとめました

People on usability testing panel

November 7, 2023

Erin Davis、Alix Dorfman

ユーザビリティ試験での質問 

ヒューマンファクタエンジニアリングに興味がある方であれば、優れた質問をするテクニックについて学んだことがあるでしょう。  ユーザビリティ試験を進行する際には、スクリプトに書かれた質問をそのまま使うのではなく、状況に応じて質問を調整することが重要です。ここで効果的で偏りのない質問をするために考慮すべき点を説明します。   

ユーザビリティ試験での質問の仕方 

  • 簡潔にする。 質問を複雑にせず、短くシンプルにするよう心がけましょう。また、複数の質問を一度にするのではなく、一つずつ聞くようにしましょう。  

  • 「なぜ」を聞く。試験協力者に「なぜ」そのように考えるのか、または行動するのかを説明してもらいましょう。このアプローチにより、ユーザビリティ試験のデータを十分に分析するために必要な深いフィードバックを得ることができます。  

  • 偏りのない質問をする。協力者の反応を誘導するような質問ではなく、オープンエンドで偏りのない質問をしましょう。例えば、「このテキストは理解できましたか?」ではなく、「このテキストについてどう感じましたか?」と質問しましょう。 

  • 必要に応じて明確化を求める。協力者の回答が不明確な場合は、別の言い回しで再度質問してみましょう。協力者が何を言いたいのか理解しづらい場合は、相手の言葉を勝手に解釈するのではなく、明確な答えが得られるようなフォローアップの質問をします。また、自分の理解が合っているか確認するために、聞いた内容を適切に言い直して確認するのも良い方法です(例:「ボタンが見つけにくかったのは、画面の左下にあったからだということですね? それで合っていますか?」)。 

  • 協力者の回答に適切に対応する。協力者の回答に対して「わかりました」と言ったり、うなずいたりして反応するのは適切です。ただし、明確化が必要でない場合は、回答を繰り返す必要はありません。また、回答の質や正確さについてコメントするのは避けましょう(例えば、「素晴らしい」や「その通り」と言う必要はありません)。感謝の気持ちを示すだけで十分です。協力者に考えたり回答したりする時間を十分に与え、すぐに答えがないからといって、回答がないと決めつけないようにしましょう。  

  • 尋問せず、質問する。ユーザビリティ試験を進行する際には、デブリーフィングは会話形式にし、質問を柔らかくして協力者が尋問されていると感じないようにしましょう。協力者がミスを責められていると感じると、根本原因が導き出されにくくなります。「なぜ間違ったのですか?」よりも、「どうしてそのようなことが起こったと思いますか?」という聞き方のほうが良いでしょう。協力者が自己防衛的になったり、自分を責めたりしている場合は、一旦中断して、評価しているのは機器であって協力者ではないことを説明し、機器の何がエラーを引き起こしたのかを理解したいと伝えましょう。 

  • 十分な背景情報を提供する。問題の根本原因を特定するためのデブリーフィングでは、協力者に十分な背景情報を提供し、状況を明確に説明するようにしましょう。例えば、「最初のタスクで投与を行った時のことを伺います。アルコールパッドで皮膚を清潔にした後、綿棒で皮膚を拭いていたようですが、なぜそうしたのか理由を教えてください」というように場面を特定して質問します。  

  • 設計の改善案と根本原因の違いを認識する。設計に関する改善提案と根本原因は異なります。例えば、試験協力者が、警告に赤文字を入れたほうがいい、と言ったとしても、それだけではなぜ協力者が警告を誤解したり見過ごしたりしたのかの根本的な理由はわかりません。根本原因を特定するのが目的のバリデーション(総括的)形式のテストでは、「どうすれば良くなるか」といった改善案を直接尋ねるのは避けるべきです。ただし、協力者から合理的な根本原因が引き出せない場合には、設計の改善案を最後の手段として尋ねることができます。ただし、その場合でも、なぜその改善案が出てきたのかを掘り下げて確認し、根本原因を明らかにするよう努めます。セッション中に設計の改善案を求めた場合、観察者がいる際には、セッション後のデブリーフィングでその理由(根本原因を引き出すための最後の試みだったこと)を説明するのが良いでしょう。そうすれば、バリデーション(総括的)試験では設計の改善案を尋ねるのが一般的ではないことと、「原則を破る」正当な理由があったことを説明できます。   

  • 移行のフレーズを使う。ユーザビリティ試験のモデレーターは、セッションをスムーズに進めるため移行のフレーズをいくつか用意しています。偏見、歪曲、混乱のないフレーズで、協力者がタスクを理解しているか確認し、次のアクティビティへと自然に移行させます。例えば、使用シナリオの終わりに「タスクは終わりましたか?」と聞いたり、「メモを整理した後に次のタスクに進みます」と言うのが効果的です。  

  • プロフィール確認質問を効率よく扱う。協力者の基礎情報を確認する質問はできるだけ迅速に処理しましょう。リクルーターからの情報が明確であれば、協力者に同じ質問を繰り返す必要はありません。その代わり、すべての正確な情報がそろっているかをすばやく確認します(例:「ここには、あなたが65歳で、NovoLogを使い、ペンインジェクターを1日3回使用していると書かれていますが、これで合っていますか?」)。これにより、評価活動にもっと多くの時間を使うことができます。  

これらのポイントを参考にして、質問を上手に行い、自信を持ってユーザビリティ試験のセッションを進めてください。うまくインタビューを行うことで、協力者から正確で有益な情報を得ることができるでしょう。それが、ユーザビリティ試験の最終的な目標です。

Emergo by ULと共にユーザビリティ試験を進行させる 

このテーマについて詳しく知りたい場合は、Emergo by ULのウェビナーやOPUS(当社のヒューマンファクタエンジニアリングデジタルプラットフォーム)で提供しているeラーニングトレーニングコースをご覧ください。また、書籍では「Moderating Usability Tests」「Medical Device Use Error: Root Cause Analysis」「Usability Testing of Medical Devices」を参考にしてください。  

ウェビナーを見る

Erin Davisは、Emergo by ULのアソシエイトリサーチディレクター、Alix Dorfmanは、マネージングヒューマンファクタスペシャリストです。 

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