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ウェビナー報告書: グローバル規制に対応するHFE戦略の開発

先日のウェビナーの報告会から、Emergo by ULのシニアリサーチディレクターによるHFE活動の基盤となるグローバルな考察事項について紹介します。

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February 29, 2024

執筆者: アリソン・ストロリック(Allison Strochlic)、メリック・コサック(Merrick Kossack)

2023年2月15日のウェビナーを見逃された方は、こちらで要約をご覧いただけます。

このブログでは、Emergoのシニアリサーチディレクターであるアリソン・ストロクリックとメリック・コサックによる「グロ-バル規制を満たすためのヒューマンファクターズエンジニアリング(HFE)戦略の開発」に関するウェビナーで発表された内容を紹介します。

主要国のHFE

米国と欧州では、HFE規制は比較的成熟しています。米国食品医薬品局(FDA)は、製造業者に対し、使用上の安全性を担保するエビデンスを求めており、その鍵となるのが、使用に関するリスク分析(URRA)の作成と総括的評価データの収集です。欧州の規制上の成熟度は中程度です。FDAはHFE文書の詳細なレビュー及びフィードバック行っている一方で、欧州の規制当局はHFE文書について詳細なレビューを行うよりも、国際規格への適合性を確認する傾向が強いです。しかし、医療機器規則(MDR)と体外診断用医薬品規則(IVDR)の更新により、HFEに対する注目度が欧州で高まっています。欧州は、使用に関するリスク分析に焦点を当てたHFEプロセスを説明する国際規格IEC-62366を遵守しています。

米国や欧州に比べ、中国及び日本は規制上の成熟度やHFEの施行は低く、HFE文書のレビューは最低限にとどまっています。しかし、HFEの施行は増加しつつあります。特に中国と日本では、製造業者が現地でHFEデータを収集し、総括的評価を実施する要求が急速に増加しています。中国の国家薬品監督管理局(NMPA)は、2020年にHFE規格ドラフト版を発行しました。最新の改訂版は2023年10月に発行され、FDA及びIEC-62366が求める要求事項の多くを踏襲しています。日本の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、IEC-62366を基にしたJIS T-62366という規格を発行し、医療機器に対するHFEの適用を求めています。現在の猶予期間は終了し、PMDAは2024年4月1日までにJIS T-62366に適合することを要求しています。

その他の地域の概要については、医療機器のグルーバルHFE規制の理解に関するウェビナーをご覧ください。

グローバルHFE要求事項の共通点

すべての規制当局は、開発中に実施すべき共通のHFE活動を求めています。想定されるユーザーと使用環境を明確にし、包括的な使用に関するリスク分析(URRA)を作成し、ユーザーインターフェース(UI)設計とリスク軽減策が効果的であることを検証することを求めています。この共通の目標の結果、多くの要求事項は規制当局間で重複しています。

戦略の策定

グローバルなHFE戦略を策定する際には、いつ、どこで製品を販売したいかを決定すべきです。複数の市場に展開していく場合や、将来的に市場拡大する可能性がある場合は、早い段階で、より広範な規制当局の期待に備えることが最適です。これにより、短期的にHFEの労力は増加するかもしれませんが、後で繰り返し作業が必要になる可能性を減らすことができ、最終的にはリソースの効率性が向上します。

グローバル視点での基礎活動

戦略を実行する際には、いくつかの重要なタスクがあります。

使用目的の調査。製品の意図された使用を調査することは、ユーザー、使用環境、使用の文脈を含みます。このステップは、グローバル戦略を策定する際に重要であり、ほとんどのターゲット市場でユーザーリサーチを実施することが重要になります。

初期段階の調査で、市場ごとにユーザーの特徴が異なることが明らかになる可能性があります。文化の違いは、色、シンボル、言語の解釈が異なる場合に、製品の使用に影響を与えることがあります。製品の使用経験や、医療従事者のトレーニング及び役割も、地域によって異なる場合があります。

使用環境は、照明、レイアウト、特定の機器の有無などの性質が異なる場合があります。このような類似点と相違点を理解することが重要になります。使用状況を理解することは、ユーザー及び使用環境に適した製品を開発する際に極めて重要になります。

形成的評価の実施。形成的評価は、グローバルHFE活動を行う際に非常に重要です。地域ごとの違いが製品の使用にどのような影響を及ぼすかは、製品が対象ユーザーの手に渡るまで判断できません。形成的評価は、総括的評価の規模を決定するためにも役立ちます。米国以外の市場では、他の地域で収集されたデータを利用できる場合もあります。形成的評価のデータは、ある地域で収集されたデータが他の地域にも適用されることを正当化するために使用できます。

総括的評価の実施。総括的評価の要件は地域によって異なります。FDAとNMPAは、総括的評価の参加者が米国及び中国の居住者であることを求めています。その他の規制当局の申請では、地域外のデータの提出可否はユーザーリサーチや形成的評価から得られた知見によります。他の市場のデータを活用する場合、同等性を証明する高い妥当性とそれを裏付けるデータが必要です。

欧州、英国、日本には明確なユーザーグループごとの参加者の人数に関する要件事項はありません。複数のユーザーグループがあり、リスクが低い製品の場合、各ユーザーグループあたり8~10名の参加者が考慮されるかもしれません。FDAとNMPAは、各ユーザーグループあたり少なくとも15名を求めています。すべての規制当局が同意している点は、製造業者の従業員は総括的評価の参加者にはなれないということです。NMPAはさらに、製造業者の従業員が試験を実施したり、データ分析に携わったりしてはならないと述べています。そのため、中国では、製造業者が第三者を雇って総括的評価を実施する必要があります。

HFE活動はサプライズや問題を減らし、成果を高める

グローバル市場向けのHFE活動を実施することは予期しない事態を伴う可能性があり、総括的評価中に新しい情報を知るには費用と時間がかかることがあります。私たちは常にHFE活動を早期に開始し、開発プロセス全体で適用することを推奨しています。複数の市場に製品がリリースされる場合にはより一層重要です。複数の地域での小規模なHFE活動を実施したとしても、何も調査しないよりは良いです。そして、HFEへの投資を最大限に活用するためには、HFE作業を明確かつ完全に文書化することが重要です。

グローバルでHFE活動を行う方法については、弊社にお問い合わせください。また、HFEトレーニング、ツール、テンプレートを提供する弊社のソフトウェア・プラットフォーム、OPUSの無料アカウントにご登録ください。

 

アリソン・ストロリック(Allison Strochlic)とメリック・コサック(Merrick Kossack)は、Emergo by ULのシニアリサーチディレクターです。

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